救急搬送の患者 受け入れ拒否問題について

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救急隊が搬送の受け入れを要請しても医療機関が拒否し、患者が死亡するケースなどが全国で起こり、問題視されています。

テレビ的に言えば、いわゆる患者のたらい回しっていうやつです。

基本的に、何か緊急事態が起った場合はまず119番で救急車を呼び、救急隊がかけつけます。患者は救急車の中で処置を受けながら、救急隊員が救急対応できる病院の受け入れ先を探し、そこまで大急ぎで連れて行く、というのが一般的なのですが

問題なのは、その緊急患者を受け入れてくれる病院が見つからない、ということです。連れていける病院が見つからないので、患者は救急車の中で一時的な処置を受け続けることしかできない。最悪の場合受け入れ先が見つからないまま救急車の中で患者が死亡してしまう、という事態も起こっています。

なぜ問題視されているかといえば、もしも緊急患者の受け入れ先が早急に見つかり、適切な処置が受けれていれば助かったかもしれない命がある、ということなのです。

・・・もはやこれは運の良し悪しでしか無いところなのですが・・・運なんかで命をかけられる患者はたまりませんよね。。見殺しにされたとしか思えないはず。

なぜこういった問題が起こっているかという背景で言われているのは、医師・看護師不足受け入れベッド不足機材不足で処置ができない、などが主にあげられています。

いやいやその程度、人の命の重さと比べればどうにでもなるんじゃない?と一見思ってしまいそうなのですが、これがまたかなり結構深刻な問題だったりします。

私はただの看護師でしたので、病院のシステムやら地域連携などはさっぱりわかりませんが、私が以前務めていた病院も夜間緊急対応をしていた比較的地域の中でも名前の知れた大きい病院でした。

主に急性期(緊急の処置が必要な状態)の方を専門に見る病院であり、慢性期(長期にわたり入院加療が必要な状態)の患者様は慢性期専門の病院へ転院させる、といったシステムでなんとか緊急患者を受け入れられる状態を作っていたようです。

それでも、その病院での患者収容率は基本的に110%~120%を超えていました。これはどういうことかと言えば、入院可能な患者さんの人数をかるく超えた人数の患者が入院している、ということです。キャパ以上の人数の患者がすでに収容されている、ということになります。

極端に言えば、1人部屋に無理矢理ベッドを入れて2人部屋にしているようなものです。普段入れてはいけない状況に患者様を入院させている、ということになります。

こういった事態、本当は絶対ダメなんですよ。キャパ以上の人数に増えれば、当然目が届かない患者さんも出てくるわけですし、病院は人の命を預かる責任がありますし。10~20%以上の負担は当然、残った医師や看護師に課せられるわけですし、今までその状態で問題が起こらなかったというのは、ひとえにその方々の努力の賜物だと思います。

特に医者を見ていると本当に大変、というか逆に気の毒に思えて仕方がない事が多々あります。

徹夜で当直が明けた後もそのまま満足な睡眠時間も取れず外来診療をしたり手術をしたり・・・過酷な労働条件はどうみても完全に労働基準法から逸脱しています。

私から見れば病人が病人を診ているような状態です。

実際、何やら薬を飲みながら診療にあたる医者も沢山いました。それでも医者という仕事は過酷な労働条件が当然とされています。医者の原点は社会奉仕ですし、治療に当たるというのが本分だからです。たとえ自分の身を犠牲にしても。

特に、緊急患者の受け入れ要請に応じられないといった事態は、夜間帯に起こる事が多いです。

受け入れ拒否、という言葉を使えば、病院側は受け入れるか受け入れないかを選ぶ権利があるようなニュアンスに聞こえますが、看護師の私から見れば実際はそうじゃなく、受け入れ不可能という状態なのです。

病院は患者を診るところですから、当然緊急な状態の患者がいればなんとか手を施したいと思うのが普通です。でも実際は診たくても、診ることができない、という状態です。悔しいけど・・患者の受け入れを断念せざるをえない状態になっている、という方が正しいと思います。

緊急患者を受け入れるというのは容易ではありません。例えばベッドがあってもそれなりの設備が無ければ対応できません。極端に言えば緊急手術が必要な患者を、手術室が無い病院へ運んでも仕方ないですよね。まー救急対応できる病院というのはもちろんある一定の条件を満たしているわけなのですが。

120%患者を収容している病院でも、あと一人の患者位ならなんとかできるのではないか?とも思えそうなのですが、当直医は当然救急患者さんの対応だけが仕事ではなく、すでに入院している患者さんの急変時の対応もしなければなりません。入院患者が突然重症化し、一刻も目を離せられない時に新たな救急搬送の患者さんを責任をもって受け入れることができるでしょうか・・・。両方の患者さんを同時に満足な対応ができるでしょうか。問題はそれだけじゃなく、120%収容している全ての患者に期待される医療を提供しなければならないということです。

とはいえ、緊急搬送されてくる患者さんにはもちろん病院の都合なんて関係ありませんよね。病院にさえ行けばなんとかなると信じて疑いません。病院は治療をする場所なのですから。

でも、本当は病院へ行くことが目的では無いはずです。自分の期待に添える医療を提供してもらう為に病院へ行くはずです。しかし今の医療現場には、とても患者さんの期待に答えられる条件が整えられていません。なので、今の状態じゃ緊急搬送の患者様を受け入れられない、という状態に陥っている、ということになります。

例え無理矢理患者様を受け入れたとしましょう。でもそれで満足な治療を行えず、患者様に万が一不幸が起こったとすれば、やはり責められるのは病院側です。何故、もっと手をかけることができなかったのかと訴訟問題に発展するケースもあります。それじゃ医者はやりきれません。。

かと言って、もちろんたらい回しにされている患者様を仕方がないと思って良いわけはありません。そんなんじゃ今後、緊急事態が起こったとしても怖くて救急車も呼べなくなってしまいますよね。。難しい問題ですが、やはり何か改善策は必要なのです。。

一般市民の私たちにできることを考えると・・・なるべく夜間の診察を避ける、という事位しか思いつきません。

もちろん緊急事態は別です。困ったときの為の救急外来ですので、誰でも対応できるように窓口を開けています。

ただ、夜間の救急外来で夜勤をしていると、この人別に今受診する必要無いんじゃない?という人も多く見かけたりしました。例えば常備薬が切れそうだからと、貰う為に受診したりとかね。驚きですが、酔っぱらいがタクシーの代わりに救急車を呼んだ、という話も結構日常的に聞いたりします。

正直に言えば、できればお昼間でも対応できそうであればお昼間に病院へ来ていただいた方が良いです。お昼間の方が医者も看護師も多いので、適切な処置を受けることができますしね。できれば夜間帯では一刻を争う状態の患者様の為に、医者の手を空けていただけた方が良いような気がします。

まぁ・・・誰も好き好んで病院へ行くわけはないですよね。まだまだこの問題は簡単に解決できそうに無いですが、一刻も早く受け入れ拒否という状態にならないように、対策が必要になっていると思います。

難しい話で目がシパシパしてきちゃったので今日はここまで!

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