入院生活は暇?忙しい?
普段病院のお世話にならない方にとっては病院に入院するということがどのような環境であるかは理解し難いものかもしれません。
入院しなければならない理由にもよりますが、患者様からお話を伺うのは
「入院中は何もすることが無いから暇だねぇー」
と よく言われます。
まぁ確かに、生活環境からも仕事や家事などからも切離された病院という場所はある意味、非現実的な環境とも言えますね。
入院に慣れた方は、沢山の本を持ち込まれたり、パソコンを持ち出しDVD鑑賞に勤しんだり、仕事を継続させる方もいらっしゃいます。
最近の病院ではインターネットが使える病室というところもありますからね・・・携帯電話に関しては、ペースメーカーを使われている方などを配慮し、大抵の病院が制限をかけていますけどね。
ただ、私が働いていた病棟は外科病棟でして、入院してくる方はほとんどが手術予約をしている方ばかりということもあり、比較的入院中も忙しい方だと思います。
例えば、手術を受けられる方は手術前日や前々日などに入院されるのですが
手術を行う為に、沢山の同意書に目を通す必要がありますし、主治医から手術の説明、手術に立ち会う麻酔科ドクターから麻酔の説明、手術に関わる術部の看護師から手術室に入室してからの説明、使用する薬について薬剤師からの説明、入院中に食べる食事について栄養士からの説明・・・・
そして我々外科病棟の看護師より、入院生活の為のマニュアルの説明や手術前の処置、そして術後合併症予防の訓練についての指導などがあります。
一気にこれだけの専門家が1人の患者の元へ訪問し一気に説明して行くわけですので
正直、コレ全部一気に全て理解するのって不可能じゃない?なんて思ったりもするわけですが
まぁとにかく何が言いたいかといいますと
外科で入院するということは 手術する前の入院初日からめちゃくちゃ忙しいということです。
手術後しばらくは絶対安静、傷が癒えるまでは早期のリハビリ
ここまで乗り越え、ほとんど手術創の傷が痛まなくなってから、退院するまでの間が「ヒマ」と言われる方もいらっしゃるのですが
現代の医療では、よっぽどご高齢だったり元々持っている病気の影響による後遺症や術後合併症等の問題がなければ想像していたよりも早く退院できた、と言われる方が比較的多いように思います。
まぁ、病院へは治療をしに行くわけですし、その為の必要で大事な入院期間を忙しいだ暇だなどの言葉で片付けてしまうというのはいかがなものかという気もしますが
どんな方も仰っしゃるのが
「疲れた。早く帰りたい」
たとえ暇でも忙しくとも、入院というのは何かと体力的に精神的に疲労するものです。
看護師としては、患者様の入院環境を、なるだけ安心安楽に過ごせるよう整えていくことが必要なのですが
それは言い換えると
どんなに患者様が快適そうに入院生活を過ごされているように見えても、やはり入院生活というのは患者様にとっては異空間であり、非現実的な環境であるということを忘れず対応することが大事だということです。
好きで病院に入院している人は 誰もいませんからね。
そういう意味では、例え入院生活が暇でも、忙しくても「快適だった」と少しでも思って頂ければ
看護師として、良い関わりが出来たなぁと思えるわけですよ。